今月のキーワード『コロナウイルス』
3月に入ってからも連日のように新たな感染者や死者のニュースが報じられ、いっこうに勢いが衰えない新型コロナウイルス。
今月は耳鼻咽喉科医として毎日診療にあたっている開発ドクター、松永敦先生に、コロナウイルスをはじめとするウィルス感染症の予防について伺いました。
まだまだ先の見えない新型コロナウイルスですが、闇雲にメディアやSNSの情報に惑わされて不安に駆られることなく、正しい情報を知り、落ち着いて対処することでこの緊急時をみなさんで安全に乗り切りましょう。
武漢で発生したとされる新型コロナウィルスが世界中に伝播し、もうまる2ヵ月以上が経とうとしています。すでに日本でもそのウィルスの拡散は無視できない状態になり、いつわたしたちの住んでいる町にやってくるとも限りません。国は抗HIV薬「カレトラ」や新抗インフルエンザ薬「アビガン」などを用いた新型コロナウィルスに対する治療研究を始めていますが、いつ効果的な治療が完成するかもわかりません。わたしのクリニックではいつも皆さんに最適、最高の治療をお届けすべく毎日、努力し続けていますが、この新型コロナウィルスに対する治療法は確立しておりません。
しかし、当院では以前からコロナウィルスに限らず、インフルエンザや風邪に対して最大の予防を皆さんにお届けするようにしてまいりました。
今回もこの新型コロナウィルス含め、気道感染するウィルスの予防についてお伝えしたいと思います。
1. 睡眠
健康の基本には何より睡眠が重要です。
特に眠り始めの最初の90分をよい睡眠にするためには、しっかり入浴することをお勧めします。なかでも熱すぎない42℃程度の入浴と、冷たいシャワーを30~90秒程度浴びるという温冷浴を3回繰り返すことで血流改善が促され、身体の表面の温度と深部の温度差ができやすくなって質の高い睡眠を得られやすくなります。また、上がった体温が元に戻るのは約90分かかることから、しっかり入浴するのであれば寝る90分前に入浴するのが効果的です。
2. 運動
ふだんから適度な有酸素運動を行いましょう。
家から会社までの途中を早歩きにしてみるとか、軽めのジョギングを行うなどです。
時間は長くても30分程度でけっこうですが、無理をしない範囲で毎日続けると筋肉がつき、免疫力も向上します。
3. 手洗い
石けんやアルコール消毒液などによる手洗いが望ましいですが、何もなければ水だけでもけっこうです。みなさんは通勤中に電車の吊り革や手すり、勤務先では部屋のドアノブや電話やコピー機などを触ったりされると思いますが、特に大勢の人が触るものを触った後は、できれば小まめに手を洗ってください。
アルコールなどの消毒液を使うのもよいですが、使いすぎると手が乾燥して逆効果になることもありますから、その際にはハンドクリームをまめに塗るようにしてください。湿った手ではウィルスは長くは生きられません。
4.マスク
マスクの効果は手についたウィルスを自分の鼻や口などに移さない役目を果たすとともに、ウィルスを直接吸い込みにくくするという効果があります。それ以上に、自分の吐いた息で温かく湿ったマスク内の空気を再利用することで自分の鼻やのど、気管などが冷えて乾燥することを回避することができます。このマスクに光触媒スプレー(シャットガードスプレー)を用いると、さらに効果的にウィルスや花粉、細菌などを抑えることができます。
5.うがい、鼻うがい
一般に、ウィルスは呼吸器官では鼻から入ってきて、その突き当りにある上咽頭(鼻の裏側)に付着し、体内に侵入することが多いです。そのために起床時に顔を洗うとき、外出先から帰宅したときには普通のうがいだけでなく、鼻うがいをお勧めします。薬局で売っているものでもかまいませんが、自宅で180㏄程度の人肌程度のお湯にティスプーン1/2程度の塩を溶かしたものを片方の鼻から入れて、反対側の鼻や口から出す、というものですが、難しければ同じ鼻から出してもけっこうです。そのとき使うお湯は毎回、使い切ってください。
また、口からのうがいをしてもわたしたちののどの構造上、水は咽頭後壁と呼ばれるのどの奥までは届かないのが普通です。ですから口でうがいをするよりは、水やお茶をそのまま少しだけ飲む、ということの方が効果的にウィルスや細菌を胃まで落とすことができます。胃の中では胃酸があるために、大概のものはここで死滅させることが可能です。
6.こまめな飲水
上記、「うがい、鼻うがい」でも書きましたが、口腔内を乾燥させないことは感染を防ぐのには効果的です。がぶがぶたくさん飲む必要はありません。水やお茶を少しずつ飲みましょう。ただ、カフェインの多いコーヒー、紅茶、緑茶は飲みすぎると利尿効果が高いため脱水気味になりますから、お茶を飲むならカフェインレスの番茶やハーブティーなどが望ましいです。
7.歯磨き(塩歯磨き)
インフルエンザやコロナウィルスが細胞内に侵入して増殖するには、プロテアーゼという酵素があらかじめウィルス表面の突起を切っておく必要があります。口腔内の細菌は、このインフルエンザウイルスを手助けしてしまうプロテアーゼを作り出してしまいます。口を不潔にしておくと細菌が増殖し、プロテアーゼの量も増え、このタイプのウィルスに感染しやすくなってしまいます。また歯磨きペーストで丁寧に磨くこともよいのですが、岩塩などの自然塩(ミネラル成分が多い)で歯磨きをしますと、ミネラル成分が口腔粘膜、咽頭粘膜などに良い効果を与えることも考えられます。塩辛いのが苦手でない方はぜひ試してみてください。
8.栄養バランスを整える
食事は日々の生活、わたしたちの免疫にとって要ですが、わたしたちの最近の食べ物は加工食品が多くなってきています。すると必然的に多くの添加物を摂取してしまうのですが、これらの添加物内には亜鉛の排出を促すものも決して少なくありません。亜鉛はわたしたちの身体の免疫をコントロールする『胸腺』という臓器を元気にしてくれるとともに、消化吸収などにも大きく関与するものです。ウィルス予防には亜鉛サプリメントの効果を生かしたいものです。PureMedにはわたしが監修したZMA(ズイーマ)というサプリメントがありますが、これは亜鉛のほかにマグネシウムとビタミンB群をバランスよく配合し、免疫力強化に役立ちます。また、ストレスや緊張によって不眠傾向にある方にもお勧めのサプリメントです。せっかくの亜鉛も抗生物質やクエン酸と一緒に飲むと効果が落ちてしまいますので、少なくともそれらとは2時間あけて飲みましょう。また免疫力を上げて呼吸器系感染症を予防するには、ビタミンCの摂取も重要です。 チュアブルタイプのビタミンCは噛むことでストレスを軽減させ、また唾液でお口が潤いますのでウイルスに感染しにくくなります。
9.腸内環境を整える
せっかく栄養価の高い食事をとっても腸内環境がガタガタでは免疫力の向上にはつながりません。また、コンビニエンスフードなどに含まれる酸化防止剤などを日常的に摂取していると、腸内環境を整える乳酸菌やビフィズス菌は減ってしまいます。それを改善するには自分の身体にあったヨーグルトやぬか漬けのお漬物、キムチなどの発酵食品をとるのが効果的です。なかなか何が良いかわからない、とおっしゃる方には『フローラック(乳酸菌生成エキス)』という液体サプリメントをお勧めします。
10.禁煙
喫煙は、これらのウィルスにとっては自分たちの生き残れる場所をしっかり提供してくれるもの以外の何物でもありません。できるだけ禁煙されることをお勧めします。
11..禁酒
過度の飲酒は肝臓を疲れさせてしまいます。
適度な量なら、とついつい思いがちですが、身体の免疫を整えるためには、ウィルスの流行時期はできるだけ避けるのが望ましいと思われます。